これまで転職市場では、第二新卒というと「新卒で入社した会社を短い期間で辞めてしまった人」っというネガティブなイメージを持たれていました。
しかし、大手企業でも慢性的な人手不足を抱え、働く人も転職することへの抵抗感が無くなりつつあります。
転職はスキルが高い人が成功するものと思いがちですが、実際はそうではありません。スキルが高いことが十分に評価されるのと同様に、年齢が若いことも転職市場で評価されます。
「今の会社から転職したいけれど、大手企業なんて無理かな……」と弱気になっているあなたへ、第二新卒として大手企業に転職する方法をお伝えします。
第二新卒が大手企業への転職は無理?
「転職で大手企業にキャリアアップするには高いスキルや、業界経験値を持っていないと難しい……」このようなイメージを持っている人も多くいます。
ある程度の業界経験とスキルを持っていれば転職で有利なことは事実です。しかし、転職市場では経験値やスキル以外で通用するものがあります。
それは、新卒で入社して3年以内の「第二新卒」と呼ばれる時期の転職です。第二新卒の転職で大手企業へ転職するための条件について見ていきましょう。
第二新卒が大手企業へ転職するための条件
第二新卒とは新卒で入社して3年以内の転職者を指します。第二新卒であれば、誰もが転職できる訳ではありません。第二新卒でも社会人経験が数ヶ月から1年程度であれば、どのような企業でも採用しないでしょう。
なぜならば、「こんなに短い期間で転職するなんて、この人自身に何か問題があるのではないか?」という疑問の目を向けられるからです。
たとえば、新卒で入社して数ヶ月間の研修を経て入社から1年も経たずに退職してしまうと社会人経験も薄く、転職の際に社会人としての基礎が身についているとは言い難い状況です。
第二新卒でも転職市場では実績も判断の一つになります。そのため、職務経歴書に記入するために入社してから2、3年程度の実績を残しておくことが必要です。
社会人としての基礎が身についていることと、数年間の実績があればライバルの多い大手企業の転職が有利に進むでしょう。
大手企業が第二新卒を求める理由
大手企業は毎年多くの新卒を採用して、若手不足に悩んでいないイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、実際の転職市場では、大手企業でも第二新卒の採用に積極的な姿勢という結果が出ています。毎年多くの新卒が入社しているのに、なぜ第二新卒の採用に積極的なのでしょう?
それは、少子化により若手の人材が急激に減っているからです。新卒の採用の現場では、合格基準を満たした学生に対して、フォロー面談を行なっています。
このフォロー面談とは、会社の魅力を伝えて学生に入社してもらおうという方法です。
このように大手企業であっても少子化による人手不足は深刻な問題です。そこで、大手企業は2つの理由から第二新卒者の採用を検討しています。
他社に染まっていない若手の戦力が欲しい
他社に染まっていない第二新卒は、若手戦力を必要としている企業にとって採用しやすい傾向にあります。ビジネスマナーを持ち、自社のやり方に柔軟に対応できる点を重視しています。
なぜならば、大手企業では新卒の採用人数が設定した枠を下回ることがあり、若手社員を補うために第二新卒を募集しているからです。
たとえば、各部署に新卒の社員を数名配置したいと考えていて、新卒の若手社員が足りていない場合は年齢が近い第二新卒者で補います。第二新卒はキャリアのある中高年と比べて仕事のやり方が確立されていないため、企業から見ると指導しやすいメリットがあります。
このように、第二新卒を募集している企業には「若手の戦力が欲しい」という理由があり、自社のノウハウはこれから吸収してもらえれば良いという傾向があります。
採用までに費用も時間もかからない
企業にとって第二新卒は、あまり費用や時間をかけずに採用できるため採用しやすい傾向にあります。
なぜならば、第二新卒者は新卒者と比べて採用にかかる費用や時間が圧倒的に低いからです。
たとえば、新卒の採用であれば採用までに1年間かかる上に、採用の準備にかかる費用や人件費が必要です。さらに、新卒者が他の競合他社に入社してしまう恐れもあるので、4月までに内定を辞退されてしまうと、新卒の採用にかけた費用や時間が無駄になってしまいます。
一方で第二新卒者は、新卒採用ほどの時間や費用もかかりません。その上、採用後すぐに入社できるため、新卒者の内定辞退のようなリスクを軽くすることができます。
このような点で若手社員を求めている企業にとって、第二新卒者は採用しやすい傾向にあります。
第二新卒が大手企業の内定を得る3つの方法
大手企業が若手社員を必要としていても、内定を得るための実力がなければ大手企業に転職することはできません。
第二新卒として応募する前に、どのような点をアピールすべきか明確にしましょう。
なぜならば、大手企業へのアピールポイントが明確になることで書類選考や面接への対策が明確になるからです。
そこで、大手企業の内定を得るための3つの方法を説明します。
第二新卒としてアピールできるポイントを定める
第二新卒として転職をする上で、以下のようなアピールポイントを定めておく必要があります。
ポイント
1.ビジネスマナーが身についている
2.前職の実績
3.転職先の仕事への熱意
なぜならば、これらのポイントは第二新卒を募集している企業側が注目している点だからです。これらのポイントを定めておくことで、履歴書や面接での伝え方に大きく影響します。
たとえば、志望企業への電話のかけ方やメールの文章、面接での対応から言葉遣いまであなたのビジネスマナーが問われます。
また、携わった業務とその成果は職務経歴書に記載する必要があります。前職の就業期間が短いため実績に自信がなくても面接できちんと受け答えできるように準備しておきましょう。
そして、転職先の仕事への熱意はあなたの志望動機に結びつきます。あなた自身がその企業に対して貢献できることを具体的に伝えることが熱意のアピールになります。
「それでも未経験の職種や業界では、アピールが難しい……」と思うかもしれません。そこで、できる限り企業が求める人物像に近づけるため、自主的に勉強をしていることや、関連する資格取得に努力していることをアピールしましょう。そうすることで、大手企業へ転職するために努力してきたことが伝わります。
このように、第二新卒として大手企業にアピールできるポイントを定めることで、大手企業が求める第二新卒像を明確にしましょう。
大手企業に就職して将来やりたいことを明確にする
面接の場で「弊社以外に競合他社はいくつもありますが、あなたはなぜ当社への転職を希望しましたか?」という質問が必ずあります。その際に、「人から感謝されるような仕事をしたいからです」といった抽象的な答えでは失敗してしまいます。
大手企業の採用担当者に熱意が伝わるように、以下のことを明確にしましょう。大手企業に入社して、10年、20年先の遠い未来にあなたがやりたいことを具体的にすることが重要です。
ポイント
1.何歳でどれくらいの年収が欲しいか?
2.どのような仕事に関わっていて、どれほどの業務レベルに達しているか?
3.会社の規模や役職はどうか?
「先のことはなかなか想像できない……」と弱気にならずに自由に考えてみましょう。
なぜならば、遠い未来をある程度予想しておくことで、逆算して現在の目標が見えてくるからです。
たとえば、大手企業に入社して40代で管理職に昇進して現在の倍以上の年収を望んだ場合、30代では係長クラスに昇進して、20代のうちに主任を目指すといった姿が見えてきます。
そこから、希望している大手企業の各年代の役職と仕事内容を調べて行きましょう。そうすることで、あなたが大手企業に入社して将来やりたいことが明確になり、その企業に入社したい志望動機に繋がります。
第二新卒に特化した転職エージェントの活用
大手企業へ転職するにあたり、将来設計が採用に大きく関わることがわかりましたが、社会人経験が浅い状態であなたの将来を設計することは難しいと感じるかもしれません。
あなたが考えた将来設計が、現実と照らし合わせて本当に実現できるのかたった一人では確認する方法がありません。
そんな時には第二新卒に特化した転職エージェントを活用することをお勧めします。
なぜならば、転職エージェントであれば多くの転職者と転職市場を熟知しているため、広い視野であなたのキャリアプランを考えてくれるからです。
たとえば、転職エージェントへの個別相談により、あなたの現在の状況と将来のキャリアプランの実現性を分析してくれます。企業と転職者の間に立って仲介しているため、企業側の求めていることと転職者の希望の両側面を見て判断します。
あなたの将来設計を実現するために足りないこと、これからどのような方向を目指せば良いかを転職エージェントにサポートしてもらいましょう。
第二新卒が大手企業へ転職しやすい時期
大手企業へ転職するときは、まず最初に入社したい時期を決めます。入社したい時期より3ヶ月ほど前から集中して転職活動を進めるようにスケジュールを立てましょう。
第二新卒の転職で狙いやすい時期が2つあります。それぞれの募集時期について説明します。
4月入社に向けて1月から3月に転職活動
大手企業への転職を目指すならば、4月入社の時期が最も良いタイミングです。
なぜならば、4月入社で募集をかける企業は、その前の1月から3月にかけて退職や異動、転勤などの会社内での人事異動や退職者で人手が足りないからです。
本来であれば人手不足を若手社員で補いたいところですが、近年の売り手市場のため内定を辞退されて予定していた人数が集まらないことがあります。さらに、この時期は前年度に新卒で入社した社員が辞めやすい時期です。
たとえば、新卒で入社すると12月にボーナスが支給され、3月末まで働くことで失業保険の受給資格が発生します。そのため、3月末の退職を目標に退職する人が集中する傾向にあります。
このような社員の変動により、4月からの新しい体制で一人でも多くの若手社員を必要としている大手企業が狙い目です。そのため、1月から3月の間で集中して転職活動に取り組むことをお勧めします。
10月入社に向けて7月から9月に転職活動
大手企業への転職では4月入社に向けた時期が最良のタイミングですが、10月の入社もこれに続いて転職に良い時期です。
なぜならば、新卒社員に欠員が生じていても採用を見送っていた大手企業が、第二新卒の採用に取り組み始める時期だからです。
たとえば、7月は新卒者の研修期間が終わりそれぞれの部署へ配属されます。新卒採用で予定していた人数を満たしていない場合、若手社員の配属が十分に行き届かないことになります。
また、この時期は夏のボーナスを貰って退職する2年目、3年目の社員もいます。
そのため、先に述べた第二新卒者の4月入社の日程に続いて、10月入社を見据えて7月から9月の転職活動も適しています。
第二新卒が大手企業へ転職するときの注意点
第二新卒の転職で転職する際に注意しなければならないことがあります。
それは、「現職に対しての不満を転職理由にしてはいけない」ということです。
多くの人が現職への不満を発端に転職を決意している傾向にありますが、その不満を前面に出さないようにすべきです。
第二新卒の転職で注意すべき点について説明します。
現職への不満から転職してはいけない
転職理由として「残業時間が多く、休みがない」「給料が安く、数年後も年収が上がる見込みがない」「上司のパワハラに耐えられない」などネガティブなことが原因ということが多くあります。
しかし、そのネガティブなことをそのまま転職理由としてはいけません。
なぜならば、転職理由としてネガティブなことを伝えられても、採用担当者から良い印象を抱かれないからです。
たとえば、「前職の残業時間が長く、給料も安い」ことを転職理由として伝えた場合、採用担当者としては「この人は、残業時間や給料に不満があるとすぐに辞めてしまうかもしれない」という疑念を持たれて良い印象を抱かれません。
そのため、現職の不満を転職理由として押し出すのではなく、「大手企業に転職してあなたが実現したいこと」を中心に考えていきましょう。
まとめ
まずは第二新卒が大手企業に転職するために、最低でも1年以上の実績を残しましょう。
次に、大手企業が第二新卒を採用する理由を知ることで、どのような第二新卒像を大手企業側が求めているかを把握することが重要です。
そして、大手企業の内定を得るため、以下の3つの方法がお勧めです。
ポイント
1.第二新卒としてアピールできるポイントを定める
2.大手企業に就職して将来やりたいことを定める
3.第二新卒に特化した転職エージェントを活用する
このように、大手企業へのアピールポイントを明確にすることで書類選考や面接への対策を固めていきましょう。
大手企業へのアピールポイントが固まったら、第二新卒が大手企業へ転職しやすい時期を狙うことで内定の獲得率を上げましょう。狙い目の時期としては4月入社に向けて第二新卒の募集が活発化するため、1月から3月の転職活動がお勧めです。その次に第二新卒の採用が活発化する時期として10月入社に向けて、7月から9月に転職活動に集中すると良いでしょう。
転職活動で注意すべき点として、転職理由としてネガティブな理由を出してはいけません。会社への不満が大きくても、転職先の会社にそれを伝えてはあなたの価値が下がるからです。
そのため、「あなたが大手企業でやってみたい仕事」などのポジティブな転職理由を見つけましょう。
第二新卒に特化した転職エージェントは、大手企業との仲介も行なっているため、先に上げたような転職活動を全面的に支援できます。大手企業への転職で不安な部分があれば、第二新卒に特化した転職エージェントを利用することをお勧めします。