会社都合で退職する場合、あなたが住んでいる住所のハローワークに問い合わせをして、以下の中から退職理由を選びその中で「会社都合で退職できるか」を前もって確認します。
ポイント
・離職の直前3カ月間に連続して各月45時間を超える時間外労働があった
・10年以上同じ職場に就いていたが、十分な教育訓練もなく配転させられた
・事業所の移転で通勤時間が往復4時間以上になった
・2カ月以上連続で賃金の3分の1以上が未払い
・残業手当を除いた賃金がそれまでの85%未満に低下した
・採用の際に明示された条件と実際の賃金、労働時間が異なっていた
・上司、同僚から冷遇、嫌がらせを受けた
・事業所の業務が法令に違反した
この中に該当していればあなたは会社都合でお得に退職することができます。ハローワークに問い合わせた際にどのような証拠が必要になるかをハローワークの職員に確認をとりましょう。
最初に直属の上司へ退職の意思を告げる
会社都合の証拠が揃い、ハローワークに会社都合で退職する段取りが整ったら次はあなた直属の上司に退職の意思を示します。
この時に「会社都合で退職する」ことを軽く主張して、上司の反応を見てみるといいかもしれませんが、会社がブラックな社風で風通しの悪い職場の場合は会社都合での退職をほのめかすことは止めて、退職するということだけを伝えておきましょう。この時に「自己都合退職」と言わず「○月いっぱいで退職いたします」とだけ伝えておきましょう。
退職を告げた段階で会社側は「退職届」を提出するように求めてきます。退職届を提出したことで法律上は自己都合退職とみなされます。そのため、会社側は従業員が自発的に退職したという証拠を得るために退職届の提出を促してきます。
しかし、ハローワークにおいては、従業員が提出した退職届は決定的な判断材料になりません。そのため会社側から「退職届を提出しろ」と要求してきても頑なに拒む必要はありません。その場は一旦従って退職届を出しておきましょう。
離職証明証にサイン
退職の意思表示を受けると会社側は、ハローワークに提出するための「離職証明書」を作成します。離職証明書には退職の理由や賃金の支払い状況の記載欄があり、この証明書によって退職者への失業給付金の金額、日数などの重要事項が決められます。
その後、会社側から離職証明書にサインを求められます。離職証明書には会社が記載した退職理由が書かれています。これに対し「異議あり・異議なし」と意思表示をする欄があります。
離職届けに「自己都合による退職」と記載されていても、会社と対立しても時間と労力の無駄ですので「異議なし」に丸をつけましょう。なぜなら退職後にハローワークに行った際に、退職者に対して最終的な意思確認が行われるからです。
このように会社側は退職者に対して「自己都合で退職」させたがる傾向にあります。それは会社都合で退職者を出してしまった場合行政から支給される助成金に影響が出てしまうからです。会社都合で退職させると、退職させた時点から一定期間助成金の申請ができなくなってしまうからです。
会社都合退職はハローワークで主張する
会社を退職後、10日以内に、会社から自宅に離職票が送られてきます。もし10日以内に届かなかった場合は会社に連絡しましょう。離職票がないと失業給付の手続きが進まなくなってしまうからです。
会社から届く離職票にも「異議あり・異議なし」の記入欄があります。この離職票の退職理由に自己都合と記載されていたら異議ありを丸で囲んでください。これが会社都合で退職手続きを行うために最も重要な第一歩です。
この離職票を持ってハローワークに行き、失業給付の手続きを行います。会社が記載した離職理由と異なる場合、なぜ「異議あり」を離職票に記載したかについて理由を聞かれます。
この時、会社都合となる証拠を提示しながらなぜ会社都合となったかについての理由を説明しましょう。会社都合となる根拠をもとに前もって予行演習をしておけば問題ありません。ここが会社都合で辞めるために主張すべき最も重要な所です。
ハローワークの職員があなたの主張を理解してくれているかをしっかりと見極めましょう。この場では落ち着いて、深刻にならずに淡々と事実を述べていくのです。
なぜならば、あなたは離職票で「自己都合で退職しておらず、会社都合での退職」と主張しているため、ハローワークの職員は会社が自己都合と主張してきたこととの違いを解明する必要があるからです。
ハローワークの職員が納得してくれない場合
会社都合での退職を主張し、会社都合となる証拠を持参しているにもかかわらず、ハローワークの職員が調査に着手してくれない場合、なぜ調査に着手しないのかと理由を問いただす必要があります。
職員の回答に納得がいかなければ、その職員の上司や課長に相談してみましょう。それでも納得がいかない場合は、雇用保険審査官に対し「不服審査請求」を行うことができます。
雇用保険審査官とは、ハローワークの上部組織である都道府県労働局に配置されている行政官です。雇用保険審査官の連絡先は「雇用保険の失業等受給資格者のしおり」にも書かれています。または「雇用保険審査官 〇〇県」とキーワードを入力して検索してみましょう。他にもハローワークを通して審査請求することもできますので、ハローワークで連絡先を聞くという方法もあります。
審査請求はハローワークの決定があった日から60日以内でなければ審査請求をすることができませんので、不服と感じたのであれば早く手続きをしましょう。費用については無料で利用することができます。
審査請求が終了すると、あなたの不服審査請求が「請求却下」されるか、ハローワーク側の「処分取り消し」のどちらかが決定されて結果が郵送で送られます。ここで審査請求が却下された場合、雇用保険審査官の決定日から60日以内であれば労働保険審査会に対して「再審査請求」をすることができます。
会社都合かどうかを判断するのはハローワーク
あなたの会社都合退職の言い分が受け入れられると、ハローワークは会社側の担当者を呼び出し、持参させた証拠について審査を始めます。
両者の証拠を比較して、1週間ほどで結論が出ます。この時に退職者と会社側の担当者が直接顔を合わせて主張をぶつける事はないので心配はいりません。
ハローワークの職員はあくまでも中立的な立場で審査をします。「法律上、会社都合で辞める権利がある」とハローワークの職員に認定させるための客観的な証拠を提出しましょう。
得する退職でよりよい人生の選択
客観的な証拠があればハローワークで「会社都合退職」を手にすることは可能です。これにより、退職後すぐに失業給付金が支給されますので給付される6カ月間の生活費について心配する必要はありません。
ブラック企業で酷使されてきた分を「会社都合退職」を利用してお得に退職しましょう。酷使され続けてきた頃には無かった時間とお金の余裕を手に入れて、じっくりとあなたの将来について考え余裕を持って転職活動に挑みましょう。あなたの人生がより良いものになることを願っています。
まとめ
会社都合退職はハローワークで認定されるものです。退職を実行に移すと決めたら第三者が見ても納得してもらえる証拠を準備し、有給休暇は退職日より6か月以上前に消化するか有給を会社に買い取ってもらうなどをしておきましょう。あなたの「会社都合退職」は退職してハローワークに申請する時点からが勝負どころです。会社都合で退職する手順をしっかりと覚えて備えておきましょう。