少子化で日本の若い人口が激減している中、多くの企業で新卒社員の獲得に悩んでいます。「新卒と変わらない年代で人手不足を埋めてくれる若手はいないだろうか……」このような問題を解決するために第二新卒の採用が注目され始めました。
第二新卒での転職を考えているならば、採用側がどのような考えで第二新卒を採用しているのかを知る必要があります。
そこで、第二新卒を採用するメリットと転職を成功させるためのポイントについて説明します。
目次
第二新卒とは?
転職市場で第二新卒採用枠というものがあります。新卒や既卒ははっきりと定義されていますが、第二新卒についてはっきりと定義されていません。
第二新卒は一般的に新卒で入社した会社を3年以内に退職予定で次の転職先を探している20代半ばの転職者を指します。
浪人や大学院卒、就職浪人など人それぞれの経緯で、年齢を定義することが難しいので20代半ばという曖昧な設定とされています。
新卒採用を補うための第二新卒
新卒の有効求人倍率が高まる中で、多くの企業が新卒採用に力を入れています。
そして、新卒だけではなく第二新卒も注目され始めました。
なぜならば、毎年一定数の新卒採用目標が定められているからです。
たとえば、新卒社員を100人採用の目標で100人に内定を出した場合、新卒が複数の会社から内定を得ている売り手市場であれば他の会社を選部人が10名から20名ほどいます。
新卒の売り手市場とは、複数の会社から内定を得ているため、入りたい会社を選ぶことができる状況を示します。
また、目標の新卒入社数を満たしていても景気の動向に関わらず3年以内に3割の新卒入社社員が辞めていきます。
新卒社員のような若手社員の人員を確保するため、多くの企業は第二新卒の採用に積極的になっています。
第二新卒に悪い印象を抱いている企業もある
第二新卒のような若手社員に企業からの視線が集まる中で、懸念を抱いている企業もあります。
なぜならば、「3年未満で転職してしまうような人材は、転職してもすぐに辞めてしまうのではないか」と思われるからです。
たとえば、これまで人員の確保を中途採用で補ってきた企業にとって、第二新卒は中途社員よりも経験が劣っている印象を抱いています。
このように、「すぐに辞めてしまうのではないか?」という第二新卒特有の悪い印象を抱かれるということも考慮して転職活動に挑みましょう。
第二新卒採用のメリット
中途社員と比較して実績が劣っている第二新卒ですが、第二新卒を採用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
企業側が第二新卒を採用することで得られるメリットについては以下の3点があります。
1.若手人員不足を解消
2.柔軟で適応力が高い
3.採用後のコストが比較的安い
第二新卒のそれぞれのメリットについて説明します。
若手の人材不足を解消
日本の少子化の影響で、新卒獲得に企業も頭を悩ませています。
新卒就活人気ランキングの上位に入るような大手有名企業であれば、新卒の採用者数の目標を達成することは難しくありません。しかし、それ以外の企業では、目標としていた新卒社数を下回ってしまいます。
なぜならば、新卒の有効求人倍率が高いため、応募する側は入社したい企業を選べる立場にあるからです。有効求人倍率とは、求職者に対する求人数の比率を示していて、この数値が高いほど求職者側が企業を選びたい放題の売り手市場と言われます。
<有効求人倍率の推移>
このように、有効求人倍率が高いほど新卒者側は入りたい企業を選ぶ立場になります。そのため、内定を出したとしても他の企業を選んで辞退されることが頻発し、目標としていた採用数を下回ってしまいます。
そこで、若手社員の人数を補うために、新卒者と年齢が近い第二新卒者の採用が活発になりました。会社の将来を担う若手社員ということで、人手不足が深刻な企業は常に第二新卒の採用に積極的になっています。
柔軟で適応力が高い
第二新卒は中途転職者と比べて、実績が劣っています。しかし、第二新卒は職歴が浅いことで前職の企業の社風に染まりきっていない点が有利です。
なぜならば、前職の社風に染まりきっていると、新しい職場の社風に馴染めず辞めてしまうことがあるからです。一方で第二新卒は3年程度の職歴ということもあり、前職の社風に染まりきってしまうことはありません。
たとえば、前職の社風に染まりきっていなければ、新しい企業の仕事の進め方や業務の管理のやり方、社内申請の方法などにすぐに馴染んでいきます。
このように、若手社員を求めている企業にとって前職の社風が染み付いていないことは非常に魅力的です。
採用後のコストが比較的安い
第二新卒を採用するメリットとして、中途社員と比べて毎月の給料が安くできる点があります。
なぜならば、中途社員の場合はその人ごとの年齢や実績に応じた給料を決定しなければならないからです。
たとえば、採用後のコストがかかる中途社員を採用して、期待していた成果をあげられなかった場合、会社にとって大きな損失です。
一方で、第二新卒を採用した場合は、新卒とそれほど変わらない給料を払いつつ会社に貢献できる人材を育成することができます。
企業にとって第二新卒は実績がないけれど、低コストで長い時間をかけて育てていくという考えがあります。
第二新卒の転職を成功させるポイント
第二新卒の転職を成功させるために、押さえておきたいポイントがあります。短期間の転職を繰り返さないために以下のような準備をしておきましょう。
1.転職の目的を明確にする
2.就職活動と転職活動は異なる
3.応募する企業を幅広くしておく
それぞれの準備について説明します。
転職の目的を明確にする
第二新卒の転職に限らず、あなたが転職することによって実現したいことや今と比べてどのようなことを変えたいのかという視点で転職の目的を明確にしましょう。
なぜならば、転職活動で何を重視して企業を選んだかということが重要だからです。
たとえば、転職目的が明確になっていると面接で説得力のある転職理由を示すことができます。そのためには会社のことをしっかりと調べて、転職したいと思ったきっかけを探し出しましょう。
転職する理由を具体的に伝えることができれば、応募する企業があなたに良い印象を与えることができます。
就職活動と転職活動は異なる
第二新卒の転職活動は、あなたがこれまで経験してきた就職活動と異なります。社会人を経験していることから、あなたが会社に求めていることにも変化が現れます。
なぜならば、一度社会人を経験していることから職場環境や人間関係、給与の条件が重要だと理解しているからです。
また、先に述べた就業条件だけでなく、あなたが会社に対してどのように貢献できるかを意識して面接であアピールする必要があります。
たとえば、新卒の面接では学生時代に勉強したことやアルバイトの経験、サークル活動の話が中心となります。一方で第二新卒の面接では、応募した会社に対してどのように貢献できるかを伝えなければなりません。
第二新卒の面接で学生時代の話をしても、何も意味がありません。しかし、初めての転職で自分の力だけでは気がつかない点もあります。
そのような時は、転職エージェントに相談してあなたの強みを引き出してもらうことをおすすめします。多くの転職者を扱ってきた経験から、あなたが企業に売り込めるポイントを導き出してくれるでしょう。
応募する企業を幅広く
第二新卒の転職では、応募する企業を幅広く持つ幅広く持つことが重要です。
なぜならば、第二新卒の求人は未経験歓迎のものがほとんどであり、一つの求人に対して多くの転職者が応募していることがあるからです。
たとえば、第二新卒の募集は未経験がほとんどのため、最初から応募する企業を業界や職種を絞らずに応募しておけば、あなたが採用されるチャンスが広がります。
未経験歓迎の募集要項に応募ができるということは、第二新卒の強みです。そのため、あなた自身の可能性を広げるために、応募する企業を広げることをおすすめします。
まとめ
第二新卒を採用する側が持つメリットについて以下の3点を説明しました。
1.若手人員不足を解消
2.柔軟で適応力が高い
3.採用後のコストが比較的安い
転職市場では、必ずしもスキルや実務経験が重視される訳ではありません。先に述べた3点のメリットがあるため、第二新卒の採用が活発になっています。
これらのメリットを理解した上で、転職を成功させるために以下の3点についてしっかりと準備しておくべきです。
1.転職の目的を明確にする
2.就職活動と転職活動は異なる
3.応募する企業を幅広くしておく
多くの場合、第二新卒の採用は未経験歓迎です。そのため、応募先を幅広く持つことが重要です。未経験の業界や職種に挑戦できたり、新卒の時に落ちてしまった企業にもう一度応募することもできます。
しかし、初めての転職ではあなたの適性を客観的に見ることは難しいです。そのような場合は転職エージェントを利用して転職活動をサポートしてもらいましょう。
転職エージェントの利用は全て無料で受けることができるので、遠慮せずに活用することをおすすめします。